2011年8月15日月曜日

脳性麻痺の定義・分類・原因・かかわり方2009

脳性麻痺の定義・分類・原因・かかわり方2009
<脳性麻痺の定義>
受胎から新生児(生後4週間以内)までの間に生じた、脳の非進行性病変に基づく、永続的なしかし変化しうる運動及び姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現する。進行性疾患や一過性運動障害また将来正常化すると思われる運動発達遅延は排除する。
ただし、生後4週間を過ぎて、3歳くらいまで脳は大きく発達するため、この時期に脳にダメージを受けると脳性麻痺に近い状態となる可能性がある。
また、麻痺の程度と本人が不自由に感じる程度は一致せず、麻痺の程度と知能指数も相関はない。麻痺の原因や合併症など、個々のケースについて個別に対応しなくてはならない。
<脳性麻痺の分類>
筋緊張による分類には、痙直型、アテトーゼ型、失調型、強調型、混合型の五種類がある。痙直型は、全身に強い筋緊張があり(伸展反射)思うように体が動かせない。原因により、精神発達も様々。アテトーゼ型は、不随意運動により思うように体が動かせず(本人の意図に反する)、姿勢が定まらない。失調型は、平衡感覚、協応動作(コンビネーション)の障害で、歩行が不安定。強調型は、強い筋緊張で痙直型とは異なり、屈曲も伸展も同じ程度の抵抗がある。混合型では、アテトーゼの不随意運動と痙直の強い筋緊張の両方を示し、最も多いタイプである。
麻痺している肢体の部位による分類には、四肢麻痺(両麻痺の重症型)、両麻痺(早産児に多く、精神発達遅滞を伴う)、片麻痺(脳性麻痺に多く、歩行可能)、重複片麻痺(四肢)、単麻痺(一肢のみ)、対麻痺(下肢のみ)がある。
脳性麻痺の原因
出生前、周産期、出生後の3つにわかれる。出生前には、流感、風疹、HIV、ヘルペス、淋病、梅毒、トキソプラズマなどによる胎内感染、母体の貧血症などによる酸素不足、妊娠中毒、母体や胎児の栄養失調、多胎妊娠、母胎の外傷、体内期内出血、染色体異常、代謝異常、ニコチン、アルコール、麻薬、有機水銀、放射線被曝、血液型不適合妊娠。周産期には、切迫仮死による胎児無酸素症、新生児仮死等による酸素欠乏、鉗子分娩による脳の外傷、核黄疸、頭蓋内出血、逆子、分娩期間の遅延。出生後には、脳炎、髄膜炎、硬膜下血腫、脳梗塞、頭部外傷、低酸素血症、一酸化炭素中毒、溺水、薬物中毒などがある。
<脳性麻痺の関わり方>
動作訓練法とは、意図したとおりの身体運動をする訓練である。①弛緩訓練は、緊張と弛緩の違いを体で覚える。今現在、力が入っているか、抜けているか、そばで口で教えてやる。②単位動作訓練では、一つの関節を中心とする、一方向の動き。スモールステップで学習していく。③基本動作訓練では、座位、膝立ち位、立位、歩行、書字、発声などを訓練する。例えば、座位では、座位の姿勢を妨げる筋肉の弛緩訓練が必要であり、ダンスのバレエやスポーツの訓練のように、柔軟体操やきれいな姿勢を矯正していく。
脳性麻痺児への関わり方は、その後、他の障害児に活かされている。脳性麻痺児で始まった「動作訓練法」は、「動作法」「臨床動作法」へ応用され、多動児や自閉症児、重症心身障害児、神経障害児、神経症の患者の訓練や心理療法へと発展している。障害の有無に限らず、楽ばかりしてはためにならず、厳しいしつけや指導はその子の成長を促すのではないかと思う。


(2009年仏教大学教育学部講義レポートより転載)

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