2011年8月15日月曜日

てんかんの定義・症状・診断・原因・治療および教育的対応2009

てんかんの定義・症状・診断・原因・治療および教育的対応2009
<てんかんの定義>
WHO(世界保健機構)は、「てんかん」を「種々の成因によってもたらされる慢性脳疾患で、大脳ニューロンの過度の発射から由来する反復性の発作を主徴とし、それに変異に富んだ臨床及び検査所見表出が伴う。ただし、脳腫瘍などの、脳占拠病変や系統的代謝障害による疾患は除外する」としている。
<てんかんの原因>
胎生期および周産期の脳疾患(脳炎や脳症、脳奇形、脳血管障害、髄膜炎)、脳外傷などが原因である。「特発性」「症候性」「潜在性」とがあり、「特発性」は、てんかんのみを持ち、遺伝的要因などを含んでおり、気質的異常を持たない。「症候性」は出産後のあらゆる時期の脳疾患や事故が原因である。「潜因性」は病気を特定できない。
<てんかんの症状>
①意識の有無②けいれんの有無③けいれんの場所④けいれんの順⑤発作の期間⑥発作後の様子⑦発作の頻度において、様々なバリエーションがある。
(1)強直―間代発作(大発作)
前駆症状:数日~数時間前より頭痛、不安、不機嫌などの症状が見られる。
けいれん発作:意識消失とともに運動を停止し、強張りと弛緩をくりかえす。眼球上転や叫声がみられることもある。筋収縮の間隔は伸びていく。
発作後期:睡眠又はもうろう状態。数分間深い眠りのこともある。
(2)欠神発作(小発作)
単純欠神発作と他の症状を伴う複雑欠神発作とがある。
(3)汎ミオクロニー発作
(4)点頭発作
(5)脱力発作
(6)その他
身体の一部か、一部から始まり前進へ移る発作(焦点運動発作、偏向発作)。
(7)小児に特有なてんかん症候群
(ウエスト症候群、レンノックス・ガストー症候群、良性ローランドてんかん)
<てんかんの診断>
脳波、ビデオ脳波同時記録、頭部MRI、頭部CT、脳血流SPECT、脳磁図を用いる。
<てんかんの治療>
薬物療法では、てんかん発作の閾値を下げて、発作を起こしにくくする。発作型や脳波を考慮して、薬剤が選択される。外科治療では、大脳皮質の特定部位を切除するか、または5mm程度ごとに脳表に切込みを入れる。
<てんかんの教育的対応>
生徒がてんかんの発作を教室で起こした場合は、発作中に頭部を保護する他、発作を正確に観察するなど、冷静な対応が求められている。
てんかんの子どもに対して、基本的には他の子と同じように扱う。水泳中など特別な場合を除き、命に危険が直ちに及ぶことはないので、落ち着いて対処する。5分以内に痙攣がとまらなければ、救急車を呼ぶ。周囲の子どもには、「痙攣の発作で、まもなく元に戻って元気になるから心配しなくていいよ」と伝える。急な発作により、周囲の子どもが偏見を持ったり、あるいは怖がらないような配慮が求められると思う。


(2009年仏教大学教育学部講義レポートより転載)

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