2011年5月5日木曜日

「教育とは」2008年バージョン

教育とは、彫刻のように、最初に構図を決め、あら削りに形を整えていかねばならない。
いきなり細部の緻密さにこってすすめると、いびつになって、修正できなくなる。

教育において、細かく教え込むほど、覚えようとする意欲や定着を阻害していく。
かといって、最初にほったらかして我流を身につけさせると、後で悪いくせをとるのが苦労する。

一見、矛盾するような話だが、頭の固い大人でも、
教え方一つで、ゴルフが上達したり、車の運転ができるようになる。

短時間で身につけるノウハウが、ゴルフのコーチングや、自動車教習所に存在する。
大人への教え方のテクニックについて、自動車を例に考えてみる。

自動車教習所では、学科と実技を平行して進める(おとなは理屈から)。
しかも、教官は助手席で見守り、助言するだけ。
緊急時以外は、生徒のハンドルやブレーキにふれることはない。

指示器もギアも、どんなに未熟な生徒であっても、まずは自分の手でゆっくりと動かす。
こうして、どんな状況で何をすべきか、身体で覚える。
身体で覚えたことは忘れにくい。自分で運転ができると言う喜びがモチベーション。

学校教育も、こうあるのが望ましい。

「教える」というのは、手取り足取り指示を出し、ミスを叱るばかりではないことが、
自動車教習所の例からよくわかる。

また、教員が見守る時間、生徒に考えさせる時間も大切なことがよくわかる。

すでに自己流の学習習慣が、小中学校のうちに定着してしまっている高校生は、
大人の学習に近いと言える。
一方で、頭の柔らかく、吸収が早いと言う子どものよさも併せ持っている。

高一の時点で、規則正しい学校生活や学び方を身につけさせてやれば、
まだまだ伸びる可能性を持っている。

まずは、高校生とはどうあるべきかという構図、構想を、教員が頭にしっかりと描き、
枠からはみ出した部分を荒削りに削って、整えてやるべきである。

生活習慣やよき学習態度が定着するようしむけつつ、いよいよ各教科の内容を教える。

ここで、難しいことを短時間に詰め込んだり、説明を聞くばかりでは、せっかくの集中力を切らしてしまう。

学んでは考えて実践。質問や小テストをうまく多用して、五感を使って、身体で覚えさせることが大切である。そう、車の運転を覚えるのと同様、きちんと見守ることが大切である。

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