2008年3月14日「確かな学力」をつけるために、教師に求められている資質は何か。
「生きる力」育成の一貫として、生徒に「確かな学力」をつけることが求められている。教師は、子どもの問題解決力を導いてやるため、様々な資質が必要である。
「確かな学力」とは、知識や技能ばかりでなく、学ぼうとする意欲や、自分で課題を見つけて自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力などのことである。
教員には主に3つの能力が必要とされる。
一つ目は地球的視野に立って行動するための資質能力である。小さな地域社会や、家庭しか知らない子ども達が多く、歴史や文化の流れから、現代日本はどのような位置にあり、これからのグローバル社会においてどのような行動が望まれるか、教師が豊かな人生経験を活かして働きかける必要がある。
二つ目は、変化の時代を生きる社会人に求められる資質能力である。高度成長期、勉強さえしていればいい会社に入り、定年退職まで勤められる時代は終わり、外国から優秀な会社、人材が日本に入って競争する時代となり、子ども達は競争に負けない学力をつける必要が増加してきた。教師はゆとり教育のよさを活かしつつ、厳しい時代に適した指導を塾講師、教材研究し、実践する必要がある。
また、未来の理想的教師像に向かって、知識や技能の向上をはかり続け、生徒の模範となる必要もある。
三つ目は、教員の職務から必然的に求められている資質能力である。教員は生まれつき真面目で慎重な性格である方が適しているとされており、それに加えて事務処理能力とコミュニケーション能力が必要である。また、生徒という未成年者をあいてとする職業のため、精神的、肉体的に上位者として指導するリーダーシップが必要である。
以上、三つの資質能力により、根気よく指導し、生徒は基本や基礎を定着させ、やる気を持たせねばならない。
では具体的にどのような対応が求められているのか、述べて行こうと思う。
例えば、再生医療について学習するとする。これまでの問題解決学習では、再生医療の長所・短所を意欲的に調べ、自分なりの考えを持たせる。その考え=仮説を検証していく過程を重視してきた。しかし、物資に恵まれた豊かな生活や、乏しい生活体験した持たない多くの生徒にとって、自分が病気だったらあって欲しいなあくらいの感想文で終わってしまいがちである。
教員はそこで、臓器移植にまつわる、発展途上国での臓器売買の問題や、国や宗教によって色々な倫理観、解釈があることを示したり、日頃学んでいる理科や社会の知識を使って、長所・短所を判断するよう促したり、生徒を刺激してやることで、学ぶ意欲を引き出し、客観的に科学的に思考して判断するよう導いてやらねばならない。そもそも生命とは何か、何のために学び、生かされているのかと言う問いに答えるだけの能力が求められる。
私はこれらの資質能力に加え、教員は守るべき伝統は守りつつ、新しい事へチャレンジする精神と、公務員としての広い教養が必要であると考えている。
常に学び続けるやわらかい頭脳でもって、様々な家庭環境の子ども達、それぞれに働きかけていく。
子ども達の手本となるような実行力は、生徒が教員に親しみを持ち、信頼を寄せる一因となるかもしれない。
現在は、保護者の高学歴化による、保護者の教師への不信感が問題となっている。自分の出身校より下の学校を出ている教師を見下し、その気持ちが生徒へと移り、生徒が教師を信頼しなくなるということも聞く。
保護者の信頼を得るためにも、教員には、社会人、公務員としての常識や広い協調が備わっており、自信を持って教えることが出来る様に努力し続けるべきであると考える。
日産自動車の社長、カルロス・ゴーン氏は次のように述べている。「教育の役割は、成長への意欲を持たせることである」と。
生徒は体験学習により、乏しい生活体験を補い、自ら課題を見つけて学び、自分の頭で思考して行動へとつなげていく。
そんな生徒へ、教師は高度なコミュニケーション能力を駆使し、他の教員や保護者、地域住民の協力を得ながら、働きかけ、成長への意欲を引き出していく。子ども達の能力、家庭環境や経済力に係わらず、全ての子ども達が、それぞれに応じた学力向上のために、教師は地球的視野に立ち、時代の変化へ柔軟に対応し、リーダーシップを発揮し、速やかな行動力と広い教養を兼ね備え、導いていく資質が求められていると思う。
2011年5月7日 追記
日産自動車は、
「すべては一人ひとりの意欲から始まる」とし、
「社員のこうした『多様性』が会社の強みになる」「多様な意見を出し合い、ぶつかり合う方が発展的、創造的アイデアがある」とホームページで述べている。
トヨタ自動車の「質実剛健」、「家庭的美風(家族のような一丸となった社員の気質)」とは、また、異なっている。
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